カコノゲンエイ

ワタシの頭の中 浮かんでは消えるあの者たち
ここにはいない 過去の幻影

すべてが美しかったあのころ 世界が輝いていた

――メニウツルモノスベテガ・・・

あの者たちのいた世界が

今はいない あの者たち
ここにあったはずの
あの影は もうどこにもない

すべては流れる時の中
時代は変わり 受け継がれる

――ソレハヨノコトワリ

何百年たっても変えることのできない
世界の決まり

――アノモノタチハモウイナイ

誰も彼女らを覚えていない
あの者たちのいない世界
そんなものに意味などない

なのに・・・

壊せず維持し続ける 自分がいる
世界の秩序を守る 自分がいる
あの者たちはもういない

しかし・・・

それを信じようとしない 自分がいる

扉を開ければ
ソファで惰眠を貪る奴がいて
奴の傍らで笑っている少女がいて
ワタシに駆け寄ってくる少女がいて

――カコノゲンエイ

あるはずのない光景

いるはずのない者たち

私は歩く 悠久の時を

しかし ワタシの心はあのころのまま

目覚めることは ない




――end



                                                             著:白螺

                                                           2008.8.24

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